多重債務の社会問題化

消費者金融5社以上から借りている多重債務者は、2007年のピーク時で全国に150万人~200万人程度いたといわれており、かつては深刻な社会問題になっていた時期がありました。

電車に乗って網棚の上を見ると、「借金解決」や「債務整理」など弁護士事務所の広告が多くみられ、債務相談のテレビCMを多く見かけた時期がありましたが、それほど社会問題化していたといえます。

この多重債務問題が深刻化したことを受けて施行されたのが、平成22年6月18日の「改正貸金業法」です。

これにより、グレーゾーン金利が廃止され、出資法による上限金利が年20%へと引き下げられたほか、貸しすぎ・借りすぎを防ぐ観点から総量規制が導入されることになりました。

この総量規制により、借入可能な総残高が年収の3分の1以内に制限され、返済能力を超えた貸付けが防止される仕組みになっています。

この効果もあり、金融庁によると2014年9月末時点での多重債務者数が16万人程度にまで減少してきたといわれており、2007年のピーク時と比較すると約10分の1程度にまで減少してきています。

また、債務相談の内容についても、5社以上の借入によるものよりも、失業や給与減少などの低収入による返済困難の問題へと変わってきており、多重債務はかつてほどの社会問題ではなくなりました。

多重債務に陥った場合のセーフティーネットも充実してきており、全国の財務局や地方自治体などの相談窓口、あるいは弁護士による相談窓口も多数設置されています。

ひと昔前とは違い、法整備も整っていますので、きちんとした金融リテラシーを持っていれば、消費者金融で安心して借りられる時代になってきたといえるでしょう。

多重債務による社会問題はすでに過去のものになりつつありますが、万一、多重債務に陥ってしまった場合には、はやめに相談窓口へご相談されることをおすすめします。