学資保険は教育資金の積立金
子供が生まれた際、親が将来の教育資金に備えて学資保険(がくしほけん)に加入しているケースもあります。必ずしも親が学資保険に加入しているわけではありませんが、子供がいる30代~40代の約3割程度が加入しているとの調査結果もあります。
この学資保険のメリットは、契約者である親が万一死亡した場合でも、その後の保険料の払い込みが免除され、子供が進学時期を迎える満期には学資金を受けられる点にあります。親が自分で教育資金を積み立てる場合、親に万一のことが生じた際には積立ができなくなりますが、学資保険に加入していればそのような心配がなくなります。
なので、学資保険は教育資金の積立貯蓄の側面が強いものの、親に万一のことがあった際でも子供が教育資金を受けられるため、生命保険的な意味合いもあります。
■学資保険による積立の例
例えば、子供が生まれてから大学入学までの18年間、毎月1万円の保険料の払い込みをしたとすれば、その総額は「年12万円×18年間」で216万円になります。この216万円を子供が18歳で満期を迎えた際に受け取り、大学の入学資金などに充てるのが一般的です。
万一、子供が10歳ぐらいの時に親が死亡してしまった際でも、その後は毎月1万円の払い込みは免除される上、満期になった際には予定どおり216万円を受け取ることができます。
けれども、生命保険的な意味合いもあるため、一般的には満期時の受取金は払込総額よりも少なくなる傾向にあります。保険会社によっては受取金が払込総額を上回る商品もありますが、一般的には元本割れするケースが多いです。
この点が学資保険のデメリットともいえるでしょう。
学資保険と教育ローン、奨学金、そして学生ローンとの違い
この学資保険は生命保険ではあるものの、教育資金の「積立貯金」の側面があるのに対し、教育ローンは「ローン」ですので、簡単にいえば借金になります。
学資保険や教育ローン、奨学金、そして学生ローンには以下のような違いがあります。
- 学資保険 → 親の貯蓄 → 積立期間:子供が生まれてから18歳あたりまで
- 教育ローン → 親の借金 → 返済期間:子供の入学時期~
- 奨学金 → 子供の借金 → 返済期間:卒業後、数年から数十年間
- 学生ローン → 子供の借金 → 返済期間:在学中から数年程度
なので、進学を希望する際、まずは親が学資保険で教育資金を積立ててくれているかどうかを確認しておくとよいでしょう。ただ、学資保険に加入していない家庭も多いため、あまり期待できないものと考えておいた方がよいと思います。
また、たとえ学資保険による積立金があった場合でも、たいていは満期時の受取金が数百万円程度かと思いますので、それだけで大学費用の全てを賄うには不十分といえます。大学進学にかかる費用は、国公立と私大で違いますが、入学金と授業料だけでも4年間で250万円~450万円程度はかかります。私大の医学部ともなると、総額で数千万円に上るケースもありますので、学資保険だけでは足りないことが多いです。
この不足分については学生本人が奨学金を利用し、それでもさらに足りないお金については親が教育ローンを借りるなどして対応することになるかと思います。
それでも一時的に不足する分については、学生ローンなども検討されるとよいでしょう。